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19世紀の詩人トーマス・ムーア

前出の、19世紀の詩人トーマス・ムーア(1779-1852)は、バンティングの曲集を基に「Irish Melodies」として10集の詩集を出版しました。これらの詩集には、今日アイルランド民謡と呼ばれる曲が多く含まれていますが、実際には、ムーアが古い旋律に新しい歌詞をつけ、旋律も一部変えたものでした。この音楽はイングランドやアメリカで異国情緒豊かなものとして受け入れられ、後にポピュラーソングに影響を与えました。
明治時代の日本にも、この音楽は影響を与えました。近代日本の音楽教育の礎を築いた伊沢修二は、1875年(明治8年)にアメリカに渡り、メイソンの指導を受けた後、日本に帰国して「小学唱歌集」を作成しました。この中には「庭の千草」(菊)、「アニー・ローリー」(才女)、「故郷の空」や「蛍の光」など、アイルランドやスコットランドの旋律が含まれています。これらの曲は、バンティングが1796年に出版した「General Collection of The Ancient Irish Music」に基づいており、このように明治の日本とアイルランド音楽が繋がっていることは非常に興味深い点です。皆さんも、ベルファストフェスティバルで採譜された曲が、日本で歌われていることを知ると、バンティングに対して親近感を覚えることでしょう。

ムーアの銅像(ダブリン)写真提供・岸本年矢氏


ルーサー・ホワイティング・メーソン 伊沢修二(写真:「国家と音楽」より、春秋社)

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